ALCひび割れ補修方法とは?修復手順と材料選び
ALCは軽量気泡コンクリートという建材で、住宅の外壁によく使われています。耐震性や断熱性に優れた素材ですが、時間が経つとひび割れが発生することも少なくありません。ひび割れを放置すると雨水が侵入し、建物の劣化が進む原因になります。この記事では、ALCのひび割れを確実に補修する方法をわかりやすく解説します。
ALCひび割れの判断基準
ALCのひび割れは、その大きさや深さによって対処方法が変わります。適切な判断を行うことで、効果的な補修ができます。
0.5mm以下の軽微なひび割れ
幅が0.5mm以下で深さが4mm以下のひび割れは、比較的軽微な状態です。このレベルであれば、DIYでの補修も可能です。
弾性塗料やフィラーなどの補修材を使って、ひび割れを塞ぐことができます。ただし、補修前にひび割れの進行状況を確認し、拡大していないかをチェックすることが重要です。軽微なひび割れでも放置すると徐々に大きくなるため、早めの対処をおすすめします。
0.5mm以上の深刻なひび割れ
幅が0.5mm以上あるひび割れは、より深刻な状態です。このレベルになると、Uカット工法という専門的な補修方法が必要になります。
ひび割れをU字型に拡張してから補修材を充填する方法で、表面だけでなく内部までしっかりと補修できます。シーリング材を使った補修も効果的で、ひび割れの動きに追従できる柔軟性のある材料を選ぶことが大切です。
専門業者に依頼すべき症状
深さが4mm以上のひび割れや、複数のひび割れが発生している場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。ALCの爆裂や欠損が起きている場合も、高度な補修技術が必要です。
また、ひび割れから雨漏りが発生している場合や内部の鉄筋まで損傷が及んでいる可能性がある場合は、建物の安全性に関わるため、必ず専門業者による診断と補修を受けてください。
補修に必要な材料と道具
ALCのひび割れ補修には、専用の材料と適切な道具が必要です。補修の品質と耐久性を確保するため、材料選びは重要なポイントです。
ALC専用補修材の種類
ALC補修には主に3つのタイプがあります。まず、速乾性パテは小さなひび割れや浅い傷の補修に適しています。約60分で硬化し、すぐに仕上げ作業に移りましょう。
次に、ポリマーセメント系モルタルは深いひび割れや穴埋めに使用します。ALCと同等の強度を持ち、耐久性に優れています。代表的な製品には「サンモルC」や「カルモル」があり、ホームセンターでも購入可能です。
最後に、シーリング材は目地部分や動きのあるひび割れに使用し、柔軟性があるため建物の動きに追従できます。
プライマーの選び方
プライマーは補修材と下地の密着性を高める重要な材料です。ALCは吸水性が高いため、専用プライマーを使用することで補修材の定着を良くし、剥離を防げます。
一般的には透明または白色のプライマーが使われ、塗布後20〜30分程度乾燥させてから補修材を充填します。下地の状態が悪い場合は、2度塗りすることでより確実な密着が得られます。
シーリング材の特徴
ALCの目地補修には、ウレタン系やアクリル系のシーリング材が適しています。特に、ノンブリードタイプを選ぶことで、後の塗装時に汚染を防げます。低モジュラスタイプは柔軟性に優れ、建物の動きに追従しやすいため、長期間の防水性を維持可能です。
耐用年数は15〜20年程度で、外壁塗装のタイミングに合わせてメンテナンスを行うのが理想的です。
ひび割れ補修の手順
正しい手順で補修を行うことで、長期間にわたって効果的な補修ができます。各工程を丁寧に行うことが成功の鍵です。
下地処理と清掃方法
補修前の下地処理は、補修の品質を左右する重要な工程です。まず、ひび割れ周辺の汚れや古い塗膜をワイヤーブラシで除去します。埃や油分も丁寧に清掃し、乾燥した状態にします。
緩んだ部分がある場合は完全に取り除き、健全な部分まで処理を行いましょう。ALCは衝撃に弱いため、作業は慎重に行う必要があります。清掃後は補修部分の水分を完全に除去し、プライマーの密着を良くするための準備を整えます。
Uカット工法の実施
0.5mm以上のひび割れには、Uカット工法が効果的です。ディスクグラインダーやカッターを使って、ひび割れをU字型に拡張します。幅10mm、深さ10~15mm程度にカットし、補修材が入りやすくします。
カット後は切り粉を丁寧に除去し、専用プライマーを塗布します。プライマーが乾燥したら、シーリング材を隙間なく充填し、ヘラで平滑に仕上げましょう。この工法により、表面だけでなく内部までしっかりと補修でき、再発を防げます。
補修材の充填と仕上げ
プライマーが完全に乾燥したら、選択した補修材を充填します。パテタイプの場合は、ヘラを使って丁寧に押し込み、周囲の表面と平らになるよう調整します。シーリング材の場合は、専用ガンを使って連続的に充填し、ヘラで成形しましょう。
充填後は指定された硬化時間を守り、完全に硬化させます。硬化後はサンドペーパーで表面を滑らかに整え、必要に応じて塗装下地の処理を行います。最終的に外壁塗装を施すことで、補修部分を保護し、美観も回復可能です。
まとめ
ALCのひび割れ補修は、適切な材料選びと正しい手順で行うことが重要です。軽微なひび割れは早期発見・早期対処により、大きな被害を防げます。0.5mm以上のひび割れや深刻な損傷の場合は、専門業者に相談することをおすすめします。定期的な点検とメンテナンスにより、ALCの優れた性能を長期間維持できます。補修後は外壁塗装も含めた総合的なメンテナンスを検討し、建物全体の耐久性向上を図りましょう。



















